L'eclaireur
田熊 一衛氏
フランス・パリの三ツ星レストランで10年間スーシェフとして活躍。
ヨーロッパと日本、異なる旨味文化を知る田熊氏がピュアナチュールの魅力を語ります。

酸味が織り成す独特の濃厚さ。旨味感じるヨーグルト。
酸味が織り成す独特の濃厚さ。旨味感じるヨーグルト。
なめらかに広がり、奥深さのある後味が印象的
色艶が良く、ヨーグルトというよりクリームみたい。濃厚さが際立っており、舌にのせた時のなめらかさが違いますね。後味が奥深く広がっていくというか、鼻に抜ける感じが印象的です。
ヨーロッパの感性=酸味の旨味
「酸味」はピュアナチュールの一番の持ち味ではないでしょうか。酸味といっても、日本人が連想する酸っぱさとは別物です。発酵由来のやさしい酸味とでもいうのかな。
日本は甘味=旨味の文化です。しょっぱい醤油もベースになっているのは甘味です。それに対してフランスなどヨーロッパには、酸味を旨味とする味覚が存在します。酸味に対する感性が、より敏感で繊細だと感じます。もちろん味覚は人により様々ですし、僕は日本人だから甘味も好きですけどね。
酸味の旨味は、ピュアナチュールの魅力である「濃厚さ」を形成している大きな要素です。
濃厚さとは、ただ濃いという意味ではなく、舌に酸味の旨味がまとわりつくような食感であり、美味しさのこと。そして、この酸味こそが“本場らしさ”だともいえます。
僕も料理を作る時は酸味を意識します。例えば、ビネガーよりもナチュラルな酸味を効かせたい時などに、ヨーグルトを効果的に使ったりします。少し前のメニューですが、薪焼きした平目にベシャメルソースとヨーグルトを乗せたグラタンとか。
コンフィチュールを引き立てる酸味
ブルーベリーのコンフィチュールは、ブルーベリーとヨーグルト、それぞれの酸味が合わさり甘みになっています。アプリコットの方は、ヨーグルトの酸味がアプリコットの甘味を絶妙に引き出している感じがします。アプリコットはランチやおやつに、ブルーベリーは夜が似合いそう。
個人的にはプレーンが一番好みかな。一番旨味が感じられ、どんな食材やレシピと合うだろう?とイメージが広がるから。例えば、家庭で料理に取り入れるなら、アボカド・バナナなどと合わせて、ピューレにするのも良さそうですね。
リコッタチーズを思わせる「重たさ」
僕らが店で作るようなヨーグルトとは段違い。ピュアナチュールは、ねっとりとしたテクスチャーが素晴らしいです。
ゆるやかなのに、水っぽくない点はすごい。リコッタチーズを思わせる「重たさ」さえ感じられます。
でも、リコッタチーズの場合、食べた時の旨味って全然ないんですよ。その点、ピュアナチュールには旨味がある。
ゆっくりゆっくり時間をかけて発酵させているからこそ、いい意味で重たさのある食感と旨味を実現しているのだと思います。
パリの日常に在ったこだわりの定番
余談ですが、“ピュアナチュール”という名前には聞き覚えがあって、この緑のロゴを見て記憶が一度に蘇りました。ああ、パリ修行時代に毎朝賄いで出されたあのヨーグルトだ!と。向こうではガラスジャー入りのピュアナチュールはメジャーでしたね。
ベルギーはもちろんのこと、パリの人も皆知っているんじゃないかな。たしか普通のスーパーではなくセレクト系のショップで売られていて、現地でもこだわり志向のヨーグルトという位置付けだった記憶があります。
慌ただしい仕込みを終えて、やっと朝食を食べられるのは午前11時頃。ガラスジャーに入ったピュアナチュールがずらっと人数分並ぶのが、ホッとする日常の風景でした。懐かしいですね。
【シェフからの総評】
きめ細かさと濃厚さ、酸味から成る旨味という観点で見ると、このピュアナチュールヨーグルトはクオリティーが非常に高い。どのタイプのヨーグルトにもそれぞれの良さがあるので比較することではないですが、ピュアナチュールは別カテゴリー=新ジャンルのヨーグルトだといえるでしょう。ゆるやかなテクスチャーなのに水っぽさは全くなく、これだけ濃厚なのはユニークですね。
L'eclaireur
田熊 一衛 氏
フランス・パリの三ツ星レストラン「ル・サンク」でスーシェフとして活躍。帰国後は自身でフレンチレストランを立ち上げ、新店となる代官山の「L'eclaireur(レクレルール)」では、パティシエとしてもキッチンに立つなどスイーツの造詣が深い。シェフとパティシエの豊富なバックグラウンドを持つ。
酸味が織り成す独特の濃厚さ。旨味感じるヨーグルト。
なめらかに広がり、奥深さのある後味が印象的
色艶が良く、ヨーグルトというよりクリームみたい。濃厚さが際立っており、舌にのせた時のなめらかさが違いますね。後味が奥深く広がっていくというか、鼻に抜ける感じが印象的です。

ヨーロッパの感性=酸味の旨味
「酸味」はピュアナチュールの一番の持ち味ではないでしょうか。酸味といっても、日本人が連想する酸っぱさとは別物です。発酵由来のやさしい酸味とでもいうのかな。
日本は甘味=旨味の文化です。しょっぱい醤油もベースになっているのは甘味です。それに対してフランスなどヨーロッパには、酸味を旨味とする味覚が存在します。酸味に対する感性が、より敏感で繊細だと感じます。もちろん味覚は人により様々ですし、僕は日本人だから甘味も好きですけどね。
酸味の旨味は、ピュアナチュールの魅力である「濃厚さ」を形成している大きな要素です。
濃厚さとは、ただ濃いという意味ではなく、舌に酸味の旨味がまとわりつくような食感であり、美味しさのこと。そして、この酸味こそが“本場らしさ”だともいえます。
僕も料理を作る時は酸味を意識します。例えば、ビネガーよりもナチュラルな酸味を効かせたい時などに、ヨーグルトを効果的に使ったりします。少し前のメニューですが、薪焼きした平目にベシャメルソースとヨーグルトを乗せたグラタンとか。
コンフィチュールを引き立てる酸味
ブルーベリーのコンフィチュールは、ブルーベリーとヨーグルト、それぞれの酸味が合わさり甘みになっています。アプリコットの方は、ヨーグルトの酸味がアプリコットの甘味を絶妙に引き出している感じがします。アプリコットはランチやおやつに、ブルーベリーは夜が似合いそう。
個人的にはプレーンが一番好みかな。一番旨味が感じられ、どんな食材やレシピと合うだろう?とイメージが広がるから。例えば、家庭で料理に取り入れるなら、アボカド・バナナなどと合わせて、ピューレにするのも良さそうですね。

リコッタチーズを思わせる「重たさ」
僕らが店で作るようなヨーグルトとは段違い。ピュアナチュールは、ねっとりとしたテクスチャーが素晴らしいです。
ゆるやかなのに、水っぽくない点はすごい。リコッタチーズを思わせる「重たさ」さえ感じられます。
でも、リコッタチーズの場合、食べた時の旨味って全然ないんですよ。その点、ピュアナチュールには旨味がある。
ゆっくりゆっくり時間をかけて発酵させているからこそ、いい意味で重たさのある食感と旨味を実現しているのだと思います。

パリの日常に在ったこだわりの定番

余談ですが、“ピュアナチュール”という名前には聞き覚えがあって、この緑のロゴを見て記憶が一度に蘇りました。ああ、パリ修行時代に毎朝賄いで出されたあのヨーグルトだ!と。向こうではガラスジャー入りのピュアナチュールはメジャーでしたね。
ベルギーはもちろんのこと、パリの人も皆知っているんじゃないかな。たしか普通のスーパーではなくセレクト系のショップで売られていて、現地でもこだわり志向のヨーグルトという位置付けだった記憶があります。
慌ただしい仕込みを終えて、やっと朝食を食べられるのは午前11時頃。ガラスジャーに入ったピュアナチュールがずらっと人数分並ぶのが、ホッとする日常の風景でした。懐かしいですね。

【シェフからの総評】
きめ細かさと濃厚さ、酸味から成る旨味という観点で見ると、このピュアナチュールヨーグルトはクオリティーが非常に高い。どのタイプのヨーグルトにもそれぞれの良さがあるので比較することではないですが、ピュアナチュールは別カテゴリー=新ジャンルのヨーグルトだといえるでしょう。ゆるやかなテクスチャーなのに水っぽさは全くなく、これだけ濃厚なのはユニークですね。

L'eclaireur
田熊 一衛 氏
フランス・パリの三ツ星レストラン「ル・サンク」でスーシェフとして活躍。帰国後は自身でフレンチレストランを立ち上げ、新店となる代官山の「L'eclaireur(レクレルール)」では、パティシエとしてもキッチンに立つなどスイーツの造詣が深い。シェフとパティシエの豊富なバックグラウンドを持つ。